<植木の病害虫>

マツザイゼンチュウ病(通称:マツ枯れ)


2010年7月20日 神奈川県横浜市にて採集
マツノザイゼンチュウ




2010年9月20日 神奈川県横浜市
罹病した林




2010年9月20日 神奈川県横浜市
伐採された幹の断面(青変菌)




2015年6月7日 神奈川県横浜市
マツノマダラカミキリ成虫

症状

全国でマツ類を枯死させる重要病害。罹病木は夏を過ぎた頃、マツの新葉が急激に褐色になり、枯死に至る。

生態と発生条件

・クロマツ、アカマツ、リュウキュウマツで発生しやすい。

・松枯れの直接的な原因となるのは、マツノザイゼンチュウ(Bursaphelenchus xylophilus)という0.6~1.0mmほどの線虫。線虫を運ぶのがマツノマダラカミキリである。
・マツノマダラカミキリ(体長20~30mm)がマツの新梢をかじり(後食痕)、その時に多数の線虫がマツ体内に侵入する。
・その後、弱って樹脂を出しにくくなった木に、カミキリが産卵する(産卵痕)。カミキリの幼虫は材を食害(フラス_排泄物)し、翌年5月末から7月頃羽化(脱出痕)する。

・被害のエリアは北海道と青森県を除く全県(2010年)に及んでいる。

防除法

・一旦罹病すると、有効な対処法は確立されていないため、予防が肝心になる。また樹勢の良い木にはカミキリムシが寄りつかないとされており、樹勢維持を心掛ける。

・5~6月ころカミキリムシ防除薬剤を散布する。
・樹幹注入剤の薬注。(景観的価値が高い場所では、広く施用されているが、松林など多数の場合には手間と費用がかかる。)

・枯死した樹木の撤去。(新たな伝染源となるため。)

備考

・簡易的な診断では、幹に一部傷つけたりして樹脂が出るか否かを調べることが行われている。(小田式判定法)
・周辺で罹病木を見かけたら、感染に注意する必要がある。
・本病を加えて世界四大樹木病害と呼ばれることがある。
萬休院の舞鶴松など、この病気により各地の名木も失われた。


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