フジ 藤

Wistaris floribunda DC.

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全景

2004年4月26日 千葉県木更津市

2007年4月
埼玉県春日部市
藤花園

2005年5月
東京都文京区
小石川植物園
樹皮

2007年8月
福島県会津若松市

2006年3月
神奈川県清川村
分 類
特殊
区 分
落葉つる植物
科属 マメ科フジ属
別名と外国名 別名:ノダフジ/英名:Japanese wistaria/中国名:紫藤
自生地(原産地) 青森以西、四国、九州/林縁や明るい樹林内/日本固有
樹 高
開花期と結実期 花:4~5月/実:9~11月
特 性 日照は陽樹~半陰樹/耐寒性は強い/耐煙性は強い/耐潮性は強い/成長は極めて早い/移植容易/病虫害に強い
植栽域 北海道~沖縄
美 性 4~5月にかけて紫色、白色の蝶形花が長さ30~90cmの総状花序に垂れ下がる。一般的にはフジ棚として用いられるが、最近では金網フェンスや竹垣に絡ませたりするなど植栽形態が広がっている。
用 途 庭園木、公園樹
管 理 ・フジ棚等ではさっぱりとした状態を維持するために、落葉後に当年枝を元から10~15cm(花芽を)残して剪定する。
・剪定は翌年の花つきのため、5月中旬から6月下旬および冬期に行なう。
・傷口から腐朽しやすくく、腐朽部は取り除き、殺菌癒合剤を塗布するとよい。
・肥料はリン酸、カリ分の多いものを施す。窒素分はマメ科植物のため施肥の必要が少ない。
・水切れは短期間であっても、花つきを悪くする。特に夏場の水やりを実施する。

・病害:こぶ病(がんしゅ病)、斑点病、さび病など
・虫害:フジツボミタマバエ、フジノキクイムシ、タマバエ類、マメコガネ、カイガラムシ類、ハゴロモ類、カメムシなど
類似種と品種 類似種:ヤマフジシナフジ、アメリカフジなど/園芸品種:
フジ品種図鑑はこちら

・国内に自生するフジ属には、ノダフジのほかにヤマフジがある。 ヤマフジは近畿地方以西、四国、九州に生え、識別点は①上から見ると左巻き(半時計回り)、②花序の長さ10-20cm、③花弁の長さ2-2.5cm、④新葉の両面に毛が密生、など。
文 化 ・別名のノダフジは、大阪市福島区の野田地区に由来する。牧野富太郎博士による命名。野田はかつて「吉野の桜、高尾(高雄)のもみじ、野田の藤」と称されるほどの花の名所とされた。
・丈夫なつるは古代より縄の代用としたり、籠や椅子などの材料として用いられる。
・ヤマトタケルノミコトが船のともづなを太いフジにつないだという伝説がある。
・万葉集には、27首のフジを詠んだ歌が知られる。
・漫画「鬼滅の刃」では、鬼が嫌う花として描かれている。
・つるが蛇に似て、またフジが不時に通じるため、庭に植えるのを嫌う風習がある一方で、神聖な木ともされた。
・花や新芽は食べられる。
メ モ ・右巻きのつるによって他物に絡みつく。
・つる伸長の早さは、クズに次いで、つる植物の中でも最大。
・大きなものでは、根元周3mに達する。
・若木の移植は比較的容易だが、成木ではできる限り根を切らないようにして(追い掘り)根鉢をつくることが大切。
・花芽形成は、7月中旬から8月中旬ごろ。
・ヤマフジはノダフジより早く開花し、耐暑性が強く、強健。増殖の接木の台木に利用される。
事例写真

街路樹(埼玉県春日部市。2007/4/22)
木立仕立(栃木県足利市 足利フラワーパーク。2009/5/3)
壁面仕立(栃木県足利市 足利フラワーパーク。2009/5/3)

・巨樹名木:牛島の藤(埼玉県春日部市) ノダフジ。特別天然記念物指定。藤棚面積700平方m、推定樹齢1200年。
・巨樹名木:足利フラワーパークのフジ(栃木県足利市。足利フラワーパーク)県指定天然記念物。藤棚面積900平方m以上、樹齢140年。樹木医の塚本こなみ氏が移植した木であることでも有名。

冬芽(横浜市緑区。2011/3/6)
幹の切断面(多重形成層。神奈川県相模原市。2016/6/14)

備 考  
参考文献
「花と樹の図鑑」柏書房
「よくわかる栽培12か月フジ」川原田邦彦,日本放送出版協会,2002
「都会にフジを咲かせましょう」藤三郎,文一総合出版,2023
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