<植木の病害虫>

カエデ類黒紋病

Rhytisma acerinum
カエデ類黒紋病
罹病葉 イロハモミジ
2023年10月15日
神奈川箱根町

カエデ類黒紋病
子座 イロハモミジ
(下方が葉表側)
2023年11月4日
神奈川箱根町

カエデ類黒紋病
子のう(未熟) イロハモミジ
2023年11月4日
神奈川箱根町

症状

夏季に、淡黄色の斑点が生じて、次第にやや盛り上がったタール状の黒斑となる。病斑の径は数mm~10mm程度まで大きくなる。自然落葉時までついたままのため、蔓延すると見た目に問題が出る。

病原菌と発生条件

・子嚢菌類ズキンタケ鋼ビョウタケ目リチスマ科。
・イタヤカエデ、ヤマモミジ、オオモミジ、ハウチワカエデなどに発生する。
・病原菌:Rhytisma acerinum
・黒色子座はそのまま越冬して、翌春に子のうを放出する。
・子座は最初に表層に精子器を形成して、のちに内側に子実層が生じる。
・子のうは棍棒状で、側糸がある。子のう胞子は無色、単胞。60-80×1.5-2.5μm。

防除法

・罹病葉の除去
・殺菌剤の散布
など。

備考

・類似の樹病に、カエデ類小黒紋病(病原菌:Rhytisma punctatum)がある。
・Rhytisma属は、ほかの広葉樹にも同様な病害を生じさせて、総称して黒紋病と呼ばれている。


参考文献:
・花木・鑑賞緑化樹木の病害虫診断図鑑,法政大学植物医科学センター,大誠社,2020
・植物病原菌類の見分け方,法政大学植物医科学センター,大誠社,2014
・植物病原菌図説,小林享夫・勝本謙ほか編,全国農村教育協会,1992 ほか


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