樹木と遊ぼう−その4−

ソメイヨシノの剪定枝で春を先採り

ソメイヨシノの剪定枝をもらったので、草木染とコップに入れて花を咲かせてみることにしました。
桜の枝の草木染は、中学の教科書で大岡信の随筆を詠んで以来、ずっと憧れていた話です。
この話に心動かされて、課外授業でチャレンジした学校もあると聞きました。しかし、採取した日は雨が降り、染め上がりは黄色くなってしまったとのこと…。
その時の講師いわく、「さくら色にするには、開花の1ヶ月前、晴れた日に切った枝が良い」とのこと。やっとこのチャンスが巡ってきたので、とにかくやってみました。
(2007.2.27実施)

ソメイヨシノの剪定枝 ソメイヨシノの剪定枝
胴葺きやヒコバエなど、徒長枝を剪定したもの、片腕で抱えられる位の量。
「桜切る馬鹿梅切らぬ馬鹿」なんて言うけれど、こういう枝は、姿を見苦しくするので剪定したそう。

※半分以上は花芽のついていない枝でした。
※ソメイヨシノの剪定は晩秋か早春が良いようです。 開花の1ヶ月前は、気温が上がり始めて、樹体に水分を巡らせ始めるため、剪定痕の回復を考慮した最適な時期とも言われます。
枝を刻む

草木染の染液をつくる
できるだけ細かく刻んで、水を張った鍋に入れる。先にカッターで枝に切れ込みを入れてから、剪定バサミでザクザク刻む。 これが結構大変で、3時間近い大仕事に…。
この後、ソヨゴと同様に染料を煮出す。火に掛けると、桜餅の様な、青臭い香りが立ち込める(これがクマリンかな)
。しかし、水の時から液は黄色く不安。

※刻む作業は、指も痛くなるので、次回からは仲間か手下を集めてやりたい!
※この時、花を楽しむ用にコップに入れられる分の枝を除けておいた。

初日のみょうばん媒染 染めあがり
これもソヨゴと同様に、下地処理した生地をミョウバン媒染で染めたけれど、黄色くなってしまった。 ひいき目に見れば「さくら色がかった黄色」だけれど、イメージとは程遠い。

※一番液は捨てた方が良かったかも、生地は液が冷えるまで漬けておいた方が良かったかも、と後悔が頭を駆け巡る…。
染液を寝かす 染液を寝かす
染め上がりが黄色くなってしまってショックだったが、「2日ほど寝かすと赤みが強くなる」らしいので、試しにやってみる。
生地を染液で煮る 2回目の染めつけ
寝かした染液でもう一度挑戦。今回は、媒染もミョウバンと鉄の2種類を用意する。

※写真は鉄媒染を用意しているところ。中華鍋に錆釘を入れて15分程沸騰させてみた。しかるに、水が真っ黒になった…。これって「おは黒?酸化還元???」?
ちなみにこの媒染の作り方が正しいのか安全なのかは分かりません…。
媒染 色止め
今回は染液を寝かせたのが良かったのか、染液が冷めるまで生地を鍋に漬けていたのが良かったのか、やっと「さくら色」に。

※写真は鉄媒染中の生地。真っ黒の液の中でピンクに色づいていくのは何とも不思議な光景。
水洗い あまった枝でお花見を
枝はコップに入れられる分だけ除けておいた。暖かい部屋に飾れば少し早めのお花見ができるはず。
(2月27日)

※桜の花芽分化は、品種にもよりますが、ソメイヨシノで前年の7月上旬〜9月にかけて起こるので、晩秋に切った枝でもできるのかもしれません。 私の経験では、1月26日に拾った枝で咲きました。
2回目生地を煮る つぼみが色づく
つぼみが膨らんでピンク色になってきました。
(3月3日)

※つぼみの頃が一番濃いピンクになります。白花のシロタエでも、つぼみの頃はピンク色に見えます。
4回目生地を煮る 開きはじめ
あともうひといき。
(3月5日)
ソヨゴの草木染 咲きはじめ
暖かい部屋の中では花が咲くのも早い。
(3月6日)
ソヨゴの草木染 開花
(3月7日)

※枝だけで咲いたものは、色も薄く、花柄も短い傾向にあります。色は日に当てると濃くなるという話を聞いたこともあるのですが…分かりません。
ソヨゴの草木染 出来上がり
やっと、さくら色に染めることができました。 この先、「開花の1ヶ月前の晴れた日」に枝を手に入れる幸運があるか分からないし、 自然の巡り合わせもある分けだし、一期一会のありがたさを感じます。

※写真は下から初回のミョウバン媒染、2回目のミョウバン媒染、2回目の鉄媒染。

思わぬ好時期に手に入れることのできた枝ですが、刻んで、煮て、匂って、見つめて、存分に味わった気がします。
それにしても「さくら色」はどこから来るのでしょうか。
日を浴びて、温度を感じて、根から幹から枝の先まで巡っている「さくら色」には、やっぱりロマンがあるなーと思います。

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