サトザクラ 里桜

Cerasus spp.

200種以上の品種は日本産 indexへもどる
  
全景

2005年4月16日
足立区都市農業公園
フクロクジュ
大正時代の名勝荒川桜堤に
縁のある公園。
アメリカのポトマック川からの
里帰り桜が植えられている。

2005年4月16日
フクロクジュ

2005年4月16日
フゲンゾウ

2005年4月19日
カンザン

2005年4月16日
イチヨウ
分 類
高木
区 分
落葉広葉樹
科属 バラ科サクラ属
別名と外国名  
自生地(原産地) 園芸品種の多くを総称してサトザクラという。多くは江戸時代後期に日本で作出された。
樹 高 品種ごとに違うが、5~10mと小形のものが多い。
開花期と結実期 花:4月~5月、八重咲きの多くはソメイヨシノより1週間ほど遅くから咲き出し、開花期が長い。
特 性 陽樹/成長は一般に早いが、小形の品種は成長が遅い。/数百年以上の寿命を持つ野生種に比べ短命のものが多い。/接木で生産されたものが多く、そのため浅根性のものが多い。
植栽域 品種ごとに違うが、ほぼ九州~札幌以南まで。
美 性 サトザクラのサトは、山桜に対しての里であり、花の美しさの際立つ品種が多い。品種の数は300~400と言われ、花弁数や花色など様々なものがある。野生種に比べ、人工的な印象を与えるので、自然地よりも建物まわりなどに植えた方が景観に調和する。
用 途 庭園樹、公園樹、景観樹、街路樹、並木、独立樹、墓苑樹、寺院境内ときに神社境内に植栽
管 理 ソメイヨシノなど他のサクラに準ずる。
類似種と品種 栽培品種は自然交雑のほか、野生種を基本に様々に交配されて誕生している。オオシマザクラが関わっているものが多い。
栽培品種ソメイヨシノシダレザクラ(共にエドヒガン群)など。系統は、カンヒザクラ群、エドヒガン群、ヤマザクラ群、マメザクラ群、シナミザクラ群、その他サトザクラ品種群などに分類される。
/野生種:オオシマザクラオオヤマザクラヤマザクラカンヒザクラなど



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文 化

・野生のサクラは古代日本から、春の訪れを告げる花として農業の暦と関連づけられてきた。それが、奈良時代から平安時代にかけて貴族の屋敷の庭に植えられるようになり、八重咲きのものがあったことが古今和歌集や源氏物語などから伺われる。室町時代の記録からは、普賢象、楊貴妃、奈良の八重桜と今日まで受け継がれる品種がみられる。江戸時代後期は園芸品種栽培の全盛時代で250種以上があったとされるが、現存しないものもある。
・名の由来は、野山に咲くヤマザクラに対して、人里に植えられるサクラの意。
・‘関山'は塩漬けにして桜湯、菓子の飾りなどに用いられる。

メ モ ・ 各地の寺社などにサトザクラの名木があるが、多くの品種がみられる名所として、多摩森林科学園、仁和寺、平野神社、造幣局の通り抜け、日本花の会結城農場などがある。
・大正時代の名勝であった荒川桜堤の品種を伝える東京都足立区の都市農業公園では、50種近いサトザクラを間近に見ることができる(KK)
・樹形が小ぶり(H3~7m程度)で、省スペースでも扱える品種としては、アーコレード、天の川、海猫、オカメ、思川、寒緋桜、兼六園菊桜、苔清水、小彼岸、子福桜、十月桜、松月、白雪、雛菊桜、鵯桜、冬桜、紅時雨、八重紅彼岸、楊貴妃などが挙げられる。
事例写真

街路樹(横浜市関内桜通り。2011/4/24)

備 考 ・八重咲きのものをサトザクラと呼ぶことがある。建設物価版に掲載されているサトザクラは特に品種が特定されるものではなく、関山、一葉、松月、普賢象などの八重咲きの品種を一括りにしている。(2005年4月建設物価調査会に確認)
参考文献
「日本の桜」川崎哲也,山と渓谷社,1993
「新日本の桜」大場、川崎、田中,山と渓谷社,2007
「サクラ100選」ニュー・サイエンス社
「サクラハンドブック」大原隆明,文一総合出版,2009
「日本の桜」勝木俊雄,学習研究者,2002
「桜」勝木俊雄,岩波書店,2015
「サクラ保存林ガイド―DNA・形質・履歴による系統保存―」吉丸博志・勝木俊雄・岩本宏二郎,森林総合研究所多摩森林科学園,2014
「さくら百科」永田洋,丸善,2010
「桜の樹木学」近田文弘,技術評論社,2016
「チェリー・イングラム」阿部菜穂子,岩波書店,2016 ほか
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