ウメ 梅

Prunus Mume Sieb. et Zucc.

万葉人にも愛された中国の花木 indexへもどる
全景

2008年3月9日 神奈川横浜市
馬場花木園

2003年2月 東京都調布市
ウメ‘白難波’

2005年5月 東京都調布市
樹皮

2005年6月 東京都調布市

2005年7月 東京都調布市
分 類
高木
区 分 落葉広葉樹
科属 バラ科サクラ属
別名と外国名 別名:コウブンボク/英名:Japanese apricot/中国名:梅
自生地(原産地) 中国中部(四川省・湖北省)とされる。
樹 高 3~10m
開花期と結実期 花:2~3月(早咲き品種では12月から)/実:6月
特 性 日照は陽地/耐乾性はやや強い/耐煙性は弱い/耐潮性はやや強い/成長は遅い/萌芽力あり/移植は容易
植栽域 北海道南部~沖縄
美 性 古来より端整な5弁の花形と芳香が親しまれている。寒さに耐えて百花に先駆けて花を咲かせる。和風な趣きを感じさせ、サクラより古くから観賞の対象とされてきた。樹形は単幹だが、下枝が根入れのすぐ上から出る個体も多く、枝は横張性が強いので、全体的にまとまって見える。
用 途 庭園木、公園樹、盆栽、果樹、生花
管 理 ・剪定は、太枝の場合は、2~3月に行う。また不定芽、徒長枝など不要枝が発生しやすく、6~7月に枝抜きする。開花期の樹形の輪郭を整えるため、11月から開花までに軽い切り戻しを行うことも行われる。
・施肥は、12~1月に有機質肥料を寒肥として施す。
・植付は、落葉期から3月上旬の芽出し前まで。ただし、厳寒期と開花期は避ける。

・病虫害は多い。(致命的なものは少ない)
・病害:コフキサルノコシカケウズラタケなどの材質腐朽病、黒星病、かいよう病、うどんこ病、炭疽病、白紋羽病、ウメ輪紋ウイルス病など
・虫害:モモヒメヨコバイ、アブラムシ、タマカタカイガラムシ、ウメシロカイガラムシ、オビカレハ、ウメエダシャク、コスカシバ、クビアカツヤカミキリなど
・生理障害:ヤニ果(樹脂症果。果実からゼリー状の樹脂のようなものを吹き出す)
類似種と品種 園芸品種:300以上の品種があるとされる。
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文 化

・「万葉集」にはウメの歌が118種詠まれていて、万葉集に詠まれる花木の中ではハギに次いで第2位。日本に渡来したのは奈良時代頃と考えられている。
・平城宮跡東院庭園や左京三条二坊の宮跡庭園から梅の種が出土している。
・縄文時代末期の遺跡から、梅の種が見つかっている。
・日本最古の園芸書「花壇綱目」(1681:江戸期天和年間)には、既に53もの栽培品種が収載されている。
・古来、白花で香りが高いものが尊ばれた。
・果実の利用は、食用として、梅干、果実酒、砂糖漬など。薬用として未熟果を加工したものを「烏梅」といい、下痢止め、解熱、咳止めに用いる。健康食品の代表格。
・樹皮は染料。材は緻密で堅く、床柱、櫛、算盤玉などに使われる。
・ウメの生産量のランキングは、2019年で和歌山(57,500t)、群馬(4,240t)、三重(1,600t)がベスト3。
品種の栽培面積では、‘南高’(33.5%)、‘白加賀’(10.4%)、‘小粒南高’(2.0%)がベスト3。
・市花とする自治体は多い。東京都では、大田区、府中市、国立市、青梅市。神奈川県では小田原市、川崎市高津区、横浜市港北区、横浜市磯子区、横浜市都筑区など。
・台湾の国花。

メ モ

・ウメは近縁のアンズ、スモモと複雑に交雑し、品種の中にはアンズの形質を引き継いでいるものが多くみられる。
・自家不稔性のものが多い。その場合、結実には別品種の授粉樹と植えるとよい。
・根締めにリュウノヒゲを植えると害虫を忌避できると言われる。(「農薬に頼らない家庭菜園コンパニオンプランツ」家の光協会)
・花芽形成期は、7~8月。充実した枝の先から元まで葉腋の芽が花芽になる。
・繁殖は実生、接木、挿木(“白難波”など発根しやすい品種がある)。
・「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」というコトワザは、ウメは剪定しないと生長しないとか花をつけないというわけでなく、剪定しないと、よい枝ぶりにならず樹形が作れないというのが本来の意味。
・花の対比を楽しめるように、サンシュユやダンコウバイと混植されることも多い。
・「日本梅の会」(昭和7年(1932)2月設立)がある。

事例写真

街路樹(東京都青梅市。2008/3)
群植(東京都青梅市「梅の公園」。2008/3)
梅畑(横浜市緑区。2009/3/7)

・巨樹名木:真法院の苔梅(新潟県佐渡市)

・名所:熱海梅園(静岡県熱海市。2015/2/11。)
・名所:曽我梅林(神奈川県小田原市。2015/2/15。2020/2/8)
・名所:偕楽園(茨城県水戸市。2015/3/15)
・名所:宝登山梅百花園(埼玉県秩父郡長瀞町。2015/3/28)
・名所:小田原フラワーガーデン(神奈川県小田原市。)
・名所:梅の公園(東京都青梅市)
・名所:結城神社(三重県津市)
・名所:鈴鹿の森庭園(三重県鈴鹿市)
・名所:いなべ市梅林公園(三重県いなべ市)

備 考  
参考文献
「育てて楽しむウメ 栽培・利用加工」大坪孝之,創森社
「よくわかる栽培12ヶ月 ウメ」大坪孝之,NHK出版
「ウメ ハンドブック」大坪孝之,文一総合出版
「ウメの品種図鑑」梅田操,誠文社新光堂 ほか

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